恋人という名のゲーム
店を出てすぐに、久我くんに話しかけられた。
「怒ってる?」
「別に…。華麗な手口に驚いて何も言えなかっただけです」
顔をのぞきこんでくる久我くんから顔を背ける。くす、と久我くんが笑った気配がした。
「手段を選ばないほど、美咲とデートしたかったってことだよ」
「恵利さんのことまで巻き込んで…」
恵利さんのことをだましているのかと思うと胸が痛む。恩を仇で返している気分だ。
「ごめん…」
急に手を握られ、久我くんの顔を見ると、叱られた犬みたいな顔をしていた。いきなりそんな顔をするから、どきっとしてしまう。