恋人という名のゲーム




店を出てすぐに、久我くんに話しかけられた。

「怒ってる?」


「別に…。華麗な手口に驚いて何も言えなかっただけです」

顔をのぞきこんでくる久我くんから顔を背ける。くす、と久我くんが笑った気配がした。


「手段を選ばないほど、美咲とデートしたかったってことだよ」

「恵利さんのことまで巻き込んで…」

恵利さんのことをだましているのかと思うと胸が痛む。恩を仇で返している気分だ。


「ごめん…」

急に手を握られ、久我くんの顔を見ると、叱られた犬みたいな顔をしていた。いきなりそんな顔をするから、どきっとしてしまう。
< 36 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop