恋人という名のゲーム
「ゆずサワーあるよ、美咲。頼んじゃっていい?」

あゆのこういうところが、10年以上のつきあいになった理由だと思う。じゃなきゃ、華やかな容姿で、甘ったるい喋り方を武器にしている女子とつきあえない。共通点のかけらもない私たちが友だちなのは、結局あゆがいい子だからなのだと思う。

ただ、思ったとおりあゆは、すぐに私を放置して話の輪に戻っていった。あゆは気配りなのか無神経なのか、わからないところがある。私ももう慣れっこなのだけど。


まあいいやと思って、食べるほうに集中することにする。おいしいものを食べて時間を過ごして帰ればいいのだ。



「藤堂さん、仕事何してるの?」

私の隣の、ざぶとんのないところに腰をおろして、男の人が話しかけてきた。堀こたつにおろした足を見てから顔を見て驚いた。

その人は、かっこよかった。
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