恋人という名のゲーム
穏やかでさわやかな印象だけど、スーツの下にほどよい筋肉がついていそうな体つきに見えた。イケメンに話しかけられたことに戸惑う。

「えっと、雑貨屋で働いてます」

「へえ、それってもしかして自分の店?」

「まさか。個人のお店ですけど雇われの身ですよ」

自分の店を持つのは夢だけど、実現にはほど遠い。思わず苦笑してしまう。そんな話、ここでしようとは思わないけど。


「…あの、名前…」

「あー。俺、黎二。久我黎二(くがれいじ)です」

なんか、妙に名前を強調された気がする。

「久我さん、お仕事は?」

お見合いかよ、と内心突っ込む。でも、間がもたないのだ。

「普通に会社員だよ」


笑う久我さんには余裕があって、外見から見ても、あゆの電話での口ぶりから判断しても、かなりの大手なのだろう。エリートという言葉が似合う人なのだと思う。
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