3を3かい、2を2かい。
その彼はといえば、顔を上げない私にも構わずマイペースにお酒を口に運んでいる。
…相変わらず、私の目の前の席に座って。
早くどっかに行けばいいのに。
せっかく自分の前で飲んでくれているのに話せない自分に苛立つから。
それに、申し訳ない。
あっちに可愛い子はたくさんいるのに。
「えーっと…名前は?」
いきなりの問いかけ。
びっくりして思わず顔を上げると向けられた、柔らかい笑顔。
やっとまともに正面から見た彼は世間一般的に"かっこいい"んだろうなと思った。