十三日間
それが、理由か。

友だと思っていた人間からの裏切りの。
ただ、それだけか。

俺は、怒りに身を震わせた。
怒りのままに、シュウに飛びかかりそうになるのを、必死で自制する。

ここで、ヤツを殴り殺すのは簡単だ。
だが、俺は人殺しだけは今までしないように生きてきた。
別に、道徳観念からではない。
生きるために必要ならば、人殺しなど別に躊躇しない。
ただ、それによって引き起こされるもめ事や、お尋ね者になるリスクの方が面倒だったから、だ。
今ここでヤツを殺せば、俺は直ちに排除されるか、もし生きながらえても、もっと日陰の身として生きる道しか残されないだろう。

それは御免だった。

ヤツが上を望み、俺が邪魔だったというならば、俺はヤツの望みを砕いてやろう。

俺を裏切ったことを後悔させてやる。

俺は、大きく深呼吸し、シュウから目をそらす。

「…本当に、一瞬でも俺を友だと思ったことは、ないのか…?」
未練がましく、俺はシュウに訪ねた。

その返答次第では、その後の俺には救いがあったかもしれない。

だが、答えは。

「ないね。おまえの様な友など、まっぴらごめんだ」

俺は、二度と人に心を開くことは、なくなった。
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