十三日間
懲罰房に向かう前に、俺は、ある教官の元に立ち寄った。
俺に、人の心理や行動について、特別教育を施してくれた教官だ。
彼なら、俺とシュウの様子も知っている。
そして、おそらくこの件については、まだ何も知らされていない筈だ。
案の定、その教官は、何が起こったのか知らなかった。
俺は、事実だけを語った。
「俺の知らぬ間に、シュウの大切にしていた形見のネックレスとやらが、俺のスペースに置いてあった。上の連中が、それを探しに来て…発見した。俺は、これから懲罰房に入れられるそうだ」
それだけを一気に語り、教官の目を真っ直ぐに見る。
彼は、それだけで全ての流れを悟ったようだ。
「…シュウ君の心の闇には気付いていたのだが…。レイ君、君がシュウ君と交流するようになって変わっていったように、シュウ君の闇も晴れたのかと思っていたのだがね…。わたしの読みもまだ甘かったとは、一本取られたな」
豪快に、笑う。
…そうか、シュウは教官の目すら欺けていたとはね。
友を持ったことのない俺になど、とうてい見抜けるものではなかったということか。
どちらにしろ、教官が自ら一連の流れを汲み取ったと言うことは、俺にとっては有利だった。
そして、シュウにとっては致命傷となるだろう。
そこまでの卑劣な手段を用いて、仮にも友としたものを陥れようとした人間に、責任ある仕事は任せられない。
いついかなる理由によって、裏切られるか判らないからだ。
シュウの未来は、俺によって完全に絶たれた訳だ。
俺に、人の心理や行動について、特別教育を施してくれた教官だ。
彼なら、俺とシュウの様子も知っている。
そして、おそらくこの件については、まだ何も知らされていない筈だ。
案の定、その教官は、何が起こったのか知らなかった。
俺は、事実だけを語った。
「俺の知らぬ間に、シュウの大切にしていた形見のネックレスとやらが、俺のスペースに置いてあった。上の連中が、それを探しに来て…発見した。俺は、これから懲罰房に入れられるそうだ」
それだけを一気に語り、教官の目を真っ直ぐに見る。
彼は、それだけで全ての流れを悟ったようだ。
「…シュウ君の心の闇には気付いていたのだが…。レイ君、君がシュウ君と交流するようになって変わっていったように、シュウ君の闇も晴れたのかと思っていたのだがね…。わたしの読みもまだ甘かったとは、一本取られたな」
豪快に、笑う。
…そうか、シュウは教官の目すら欺けていたとはね。
友を持ったことのない俺になど、とうてい見抜けるものではなかったということか。
どちらにしろ、教官が自ら一連の流れを汲み取ったと言うことは、俺にとっては有利だった。
そして、シュウにとっては致命傷となるだろう。
そこまでの卑劣な手段を用いて、仮にも友としたものを陥れようとした人間に、責任ある仕事は任せられない。
いついかなる理由によって、裏切られるか判らないからだ。
シュウの未来は、俺によって完全に絶たれた訳だ。