十三日間
待ち合わせ場所には、何と30分近く前に着いてしまった。

…一昔前の少女マンガみたいだ……。

僕が自分で自分を笑おうかと思った時、大木みくるの姿が見えた。

えええ?
まだ30分前なんですけどぉお??

内心おろおろしながら、いや、この時間に来て良かったと胸をなでおろし、表面上は普通に取り繕う。

「おはよう、大木!」
爽やかに声をかける。
大木みくるは、ちょっとびっくりした顔をした後、笑顔になって
「おはよう」
と、挨拶を返してくれた。

今日の大木みくるは、目にも眩しい白のワンピース姿。首元や、袖や裾に、ピンクのビーズみたいな飾りが縁取られていて、可愛い系の服だった。
白いミュールに、小さいカゴみたいなカバン。…用語は判らないけど、女の子がよく持ってるヤツだよ。
学校にいる時とは違って、髪の毛も毛先の方がカールしてたりする。

や、ヤバイ、超可愛い~っっ!

僕は、素直にそんな感想を口にしそうになる。

だめだめ、さすがにそれはマズイでしょぉ?
でも、何も言わないのも失礼だよね?
やっぱ褒めておくべきだよね??

「水瀬くん、今日の格好決まってるね~っ」
さ、先に言われた…。
「ありがと! 大木も…いいよね」
何がいいのさ?
いいって何がだよっ?
訳判らないでしょぉ、その感想!

もう一人の僕が、僕におっきなハリセンをかます。
イタタタ。

一人心ツッコミは、当然僕にしか判らないので、態度に出ないようにするのが大変だ。
< 109 / 267 >

この作品をシェア

pagetop