十三日間
席に戻って、お茶を飲みながらポップコーンをつまみ、映画が始まるまでの時間つぶしをすることにする。
隣に大木みくるが座ってる…この距離の近さがドキドキだぁ!

僕は、ドキドキと興奮を悟られないように、冷静さを装って会話をしようと、ものすごく苦労していた。
こういう時って、話題に困ったりするんだよね。
何を話そう?
これから始まる映画の予想とか?

僕が悩んでいると、大木みくるの方から話しかけてきた。
「ねぇ、水瀬くんて、彼女いないんだよね?」
「えっっ??」

と、と、と、突然何を言いだすんだっ?

「い、い、い、いないよっっ?」

声、声!
声、裏返ってるから、僕!
戻して戻して!

「いないよ、ははっ」
明るく汗だくで答える僕。
ふ~ん、と呟いて、大木みくるが更に言う。
「水瀬くん、もてるじゃない? 何で彼女作らないのかなって…」
「へ? 僕もててないよ?」
心底びっくりして、またすっとんきょうな声で返事をする。
「え、だってこの間だって告白されてたでしょ?」

「こ、告白ぅうっっ?」

ついつい大声をあげちゃったせいで、周りの人達から冷たい視線が突き刺さる。
映画、始まってなくて良かった。

「さ、されてないよ??」
慌てて声を落として、返事をする。
「え~? だって、隣のクラスの子が振られたって……」
「僕に? 振られたの?」

僕が女の子を振ったって?
いつ?

ものすごく悩んで、思い出す。

…あれって、もしかして告白、だったの…?
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