十三日間
母さんと兄さんが部屋から出ていった後も、僕はしばらく起きあがれなかった。

思い出した。

……夢の内容。

階段、だった。
確か、何日か前にも見たはず。
でも、今日のは違った。
もっとハッキリした夢だった。

階段の数は、十三段。

そして、そのてっぺんを見上げてみたら、見慣れない物があった。
最初はなんだか判らなかった。

高い二本の棒。
そのてっぺんに、横に渡された一本の棒。

そして、その真ん中からつり下がった一本のロープ。
丸く輪になったロープの先が目にはいる。

僕は実際に見たことは、勿論ない。でも、テレビとかで見たことがある。

『絞首台』

そういう名前だったはず。

…何で僕が、絞首台の夢なんて見なきゃいけないんだよ?
しかも、何で怖がらなきゃならないだよっ?

僕は混乱していた。

別に、絞首台の夢を見るくらい、そんなにあるとは思わないけど…ないとは言い切れないと思う。
でも、何でそれを見ただけでこんなに怖がらなきゃいけないの?

まるで、僕がその絞首台に向かって、階段を登るみたいに…。
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