十三日間
「なぁ、秀悟…」
部室で、ようやく秀悟と二人で話すチャンスが来る。
「ん?」
「昨日、僕が倒れる時に言ってたこと…。誰にも言わないでいてくれてたみたいだよね。…ありがとう」
ずっと気がかりだったんだ。
僕が、あんな事を言いながら倒れたなんて、周りが知ったらどう思われるか、って。
「俺が困るからさ、言わなかっただけ」
秀悟はそう言ったけど、本心じゃないのは良くわかってる。

僕と秀悟との間に何もないのは、僕らが一番良くわかってる。
でも、気を失う前にあんなこと言ってたなんて噂になったら、実は僕らの間に何かあるんじゃないかって、思われるだろうし。

気を失うほどの、何があるのかって勘ぐられるにも違いない。

今朝のように、いろいろ聞かれて、ただでさえ夢のことで悩んでいて、突然気を失うほど多分参っている僕。

そんな騒ぎが僕の負担になることを、秀悟は気遣ってくれているんだ。

長いつきあいだもんな。

僕は、秀悟の気遣いに感謝した。

ホント、いい友達だよ、おまえは。

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