十三日間
十日目 「僕」
「っく、………ひっく…」
僕は、静かに泣きながら目を覚ました
うなされて、悲鳴を上げて飛び起きたことはあっても、涙が止まらなくて起きたのは初めてだ。

胸が締め付けられるように痛かった。

夢の中で、僕は大切な人を失った。
どうして、どうやって失ったのかは判らない。
でも、失ってしまった、というのは判った。

大切な人。
大好きな人。
大切な…彼女?

起きあがり、ネックレスを手に取る。

みくるちゃんの、ネックレス。

ぎゅっと握りしめ、胸に抱え込むようにする。

大丈夫、僕にはみくるちゃんがいる。
みくるちゃんは、ちゃんと僕の側にいてくれてる。
いなくなったりなんか、しない。

ようやく涙が止まり、僕は目を拭った。

大丈夫、僕は誰も失ったり、しない。
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