十三日間
のちに判った事だが、俺を攫ったのは、国家がらみの連中だった。
これが、マフィアや裏組織の人間でなかったのが、俺にとっての幸運だ。
マフィア関係に攫われたなら、それはイコール死を意味する。
だいたい、ガキを攫う場合は、その臓物や手足などの肉体を売りさばく目的か、慰みものにするために売るか、労働力として売るか…まぁ、そんなところだろう。
だが、余程の容姿を持っているか、働き手として使えそうなくらい頑強でなければ、たいていの場合は肉体を文字通り切り売りされておしまい、だ。
そして、俺の産まれ育ったところの様な場所には、容姿端麗な者や、逞しい身体をしたガキなんていやしない。
だから、すぐに殺されてバラされるのがオチだ。

だから、俺を攫ったのがそういった連中じゃなかったのは、本当に幸運だったというわけだ。

しかも、俺を攫った連中にとっても、俺を攫った事は幸運だった筈だ。

俺は、「使えるヤツ」に育ったからな。

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