十三日間
国家がらみの連中……とはいっても、もちろん表舞台の連中じゃない。
そんな奴らが人攫いやってました、なんてバレたら大事だ。
当然、秘密裏に行動をおこす裏機関だ。
…と言えば聞こえはいいが、要は汚れ役だな。
そして、攫われてきた俺たちは、そこで働く要員として教育されたのだ。

ただし、全員が、じゃない。

手当たり次第攫って来ているから、当然、使い物にならないヤツも沢山いる。
病気持ちのヤツ。
身体の一部が不自由なヤツ。
知能の発達に遅れがあるヤツ。
妙に熱血していて、奴らに服従するのを頑なに拒むヤツ。

そういった連中や、奴らにとって扱いにくい連中は、だんだんと排除されていった。

…排除。

奴らはそういう単語を使ったが、残った者は皆その単語の意味を肌で感じていただろう。

…排除イコール死、と。

だから、生き延びるためには、奴らの望むような人間になり、奴らの望む教育を身につけなくてはならなかった。

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