十三日間
教育…。

これも、俺にとっては有難い話だった。
集められたガキどもは、ほとんどが読み書きは出来ない。
まともな言葉遣いを知ってる者だって少ない。

だが、俺は違った。

独りで生きていくことを選んでいた俺には、読み書きは必要な知識だったからだ。
店の看板や広告から始め、捨てられた雑誌や新聞から、俺は文字を習得していった。
覚え初めて程なくして、使い古された教科書を拾ったのは一番の幸運だったかもしれない。
おかげで、基礎を学ぶことが出来たから、俺の語学力は飛躍的に向上した。

一日の糧を得ることが出来、体力を温存しておく為に身体を休めている時、俺は必死に学んだ。
自分で出来る範囲の独学ではあるが、それでも進歩はしていっていたと思う。

無知は死に繋がる。

俺はそう考えていたから、学べることは何でも学んでやろうと思っていた。
どこに生き抜くための糸口があるか判らない。
知らないが為に命を落とすことがいつ何時起こるかもしれない。

自衛のため、生き抜くために、俺は知識を必要としていた。

それを、奴らは義務として俺に投げ与えてくれたのだ。
教育という名のもとに。

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