十三日間

教室に行く頃には、僕の頭は昼休みの会話のシュミレーションでいっぱいだった。
自然と顔つきも明るくなっていったみたいだ。
「おはよ、水瀬くん」
また大木みくるに先を越されてしまったけど、、
「おはよう」
と、爽やかに挨拶を返す余裕も満点。

自然に爽やかさを演出。
これ、実はなかなか大変な努力が必要なんだぞっ。
最近の僕は、鏡の前で練習を欠かさないのさ。

…人に見られたら、地球の反対側まで穴を掘りたいくらいに恥ずかしいけどね。

「昨日さ、ちょっと暇があったから、良さそうな映画調べてみたよ」
と、あくまで軽く。
「ホント～？　助かる！　一応あたしも見たいのチェックしてみたんだ」

…これは、僕と同じパターン？
実は必死に調べてたりして？？
それをバレまいとして、わざと「一応」とか言ってたり？？？？？

「っても、テレビで見た予告編とかだけなんだけどね～」

撃沈。

ホントに「一応」だったのか…。
まぁいいや、テレビ見ながらも映画の事が頭の片隅にあってくれたって事で…。

僕は、必要以上に卑屈に考える
。
いやいや、良くない、こういうマイナス思考が良くないのだ！

「んじゃ、また昼休みに相談しような」
「うん。楽しみだね」
「…うん」

た、楽しみ、だって！
楽しみ～っ！

こんな一言で僕は舞い上がれる単純幸せヤローなのさ！

最近昼休みが待ち遠しいぞぉ！