十三日間
午前中の授業はかなり上の空だった。
そして、念願の昼休み!

早速昼飯を食べながら、大木みくると相談を始める。
僕が持ってきた雑誌を見ると、大木みくるが目を丸くした。
「わざわざ雑誌買ってくれたの~? あたしもネットでは見たけど…」

あ、ネットか…。
そんな手があったか。

帰りのコンビニで飛びついて雑誌を買ったので、そんなの思いつきもしなかった。

まぁいいや。

「昨日、帰りにコンビニ寄ったついでにさ、目に入ったから買っちゃったんだ。ついでだったし」
やたらと「ついで」を強調。

あ、でもあんまり強調しちゃうと、今度は「映画に誘ったのは適当?」とか思われちゃうかな?
もうちょっと、実は楽しみにしてる感じを出しておいた方がいいかな?

「そうなんだ。ちょっと見ていい? 何か特集記事とかあった?」
「あったよ、ちょうど今週末に公開になるのが2本くらいあってさ、それの特集とか」
「え~、何やるんだっけ?」

1冊の雑誌を覗きながら、観る映画を相談する二人…。

もう、はたからみたらカップルっぽくない?
いい感じじゃない?

雑誌を覗いてる自分たちを、外から目線で眺めてみる。(器用だな、僕って)
うんうん、かなりカップルっぽいぞ!

しかし、僕のこのにやけ心はしっかりと秀悟に気づかれたらしく、机の向こう側でニヤーリと笑われてしまった…。

いいじゃないか、別に。
自分だけ、隣に彼女はべらせてさ、この幸せ者!

ぎろりん、と睨むと、秀悟のヤツ、さっさと目線をそらした。

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