囚われジョーカー【完】
━alternative━
太陽は上がっているが、やはり相変わらず外気の冷たさにはついて行けない。寒すぎる。
お昼時を過ぎ客足も減った喫茶店でコーヒー一杯をのむのに、一体何時間かかっているのか。さっきから私に向けられる店員の視線が痛い。
と。
「あれ、菫ちゃん?」
そんな明るく跳ねた声が背後から聞こえ、ゆったりとした動作で振り返った。
そこにいたのはレディース物のパンツスーツに身を包み、やっぱりそうだと微笑む姿。
でも、…あれ…?
「…………明日香さん?」
疑問系になってしまったのは、前回会ったときと雰囲気ががらりと変わっていたから。その雰囲気を変えたものとは
「…髪、切ったんですね。」
「うん。鬱陶しかったからねー。」
「……寒そう…。」
私の問いかけにあははと笑う明日香さんの長かった黒髪は、ブラウンに染められ肩にかからない長さのショートヘアになっていた。