囚われジョーカー【完】
「…ご用件は。」
「んー、別に?」
「……ご飯は…」
「食べた。」
その言葉を聞いて、少しホッとした。今私の部屋の冷蔵庫には食材といえるものが殆どない。
多分、私が食に欲がないのが問題なんだろう。
そう言えば、今日だって夕飯を食べていない。
「…三浦さん。」
「ん?」
「……社長息子さんが、こんな一般人の女子大生の部屋に来てて。問題ないんですか?」
「……菫、どうした?」
三浦さんの顔は本当に私の言葉の真意が分からないという顔で。そのまんまです、と呟いた私に一瞬眉を寄せたのを見逃さなかった。
――――多分、さっきあんな夢を見たからだと思う。清水くんの言葉が脳裏を過ぎるからだと思う。
今までなら聞きたくても恐くて聞けなかったことが。今は何か糸が弛んだように口からこぼれる。