囚われジョーカー【完】
謝られるなんて、気分のいいものじゃない。
ばちっと絡まった視線の糸を解くことはせず、三浦さんの端正な顔立ちを睨むように見つめる。
「…無理強い、だった。」
「……なんで、ゴム付けてくれないんですか。」
「………意地。」
「意地…?」
「菫が、離せとか離れろとか言うから。」
「責任転嫁ですか。」
はあーっと深い溜息を吐き出した私。
言葉とはまるであべこべ、自分がしたことに大して罪悪感を抱いていない顔で私を見ている三浦さん。
その顔にうっすら軽蔑を抱いた。
避妊具なしに情事を行ったのは、私が三浦さんを拒否したから。らしい。
なんだそれ。悪いのは私だと言いたいのかこの男。
「…最低。」
「うるせーよ。」
「出逢いたくなんて、…ありませんでした。」
「そんなん、俺だって同意見だ。」
「……貴方は、最低です。」
「おー、ありがとう。」
「全然褒めてません。」