囚われジョーカー【完】
「でも…貰っていいの?」
「むしろ貰ってくれなきゃ悲しいよ。」
そう言って屈託ない笑顔で笑う清水くんに、私も微笑み返し。
お礼の言葉を告げる、が。
「すごく嬉しいんだけど…」
「うん?」
「私、ピアスの穴開けてない…。」
「……、」
ぴたり、清水くんは身体の動きを止めただ瞬きだけを繰り返す。
刹那、頭を抱えるようにしてうなだれた彼は悔しそうな恥ずかしそうな声色で言葉を吐き出す。
「うわ、ごめん!」
「え、いや、謝らなくても…」
むしろ謝るのは私の方じゃないか?清水くんがどうしてこのピアスを私にくれたのかは分からないけど、やはり誰かからの贈り物は嬉しい。
「私、ピアス開けるよ。」
「え…」
「折角貰ったのに、付けないなんて悪いし。これ可愛いし気に入ったから。」
スミレのピアスを、右耳の耳朶に重ねて見せれば清水くんは落ち込んでいた顔を綻ばせた。