囚われジョーカー【完】
どうやら、まだ三浦さんは仕事中らしい。この時間にあちら側から電話をかけてきたことがあったから、一応掛けてみたのだが…。
じゃあ今から三浦さんの部屋に行ったとしても、廊下で何時になるか分からない帰りを待たなければならない。
「(……寒い、無理。)」
その選択肢は考える必要もなく切り捨てた。
じゃあ今の内にピアッサーを買いに行ってしまおうか。今日はバイトもない。この後の予定は取り敢えず三浦さんからの電話があるまでは空いている。
決めたら、行動に移す。意味なく過ごすよりも何かしていた方が気も楽だ。
この後、三浦さんとする話は気楽なものには絶対にならない……。
よし、行こう!
くるりと踵を返し、若人が溢れるお洒落な店が並ぶ大通りへと向かおうとしていた私の足は。
ある一点で釘付けになり、ぴたっと動きを止めた。
――――視線の先には二人の、男女。