囚われジョーカー【完】
そう言って、私が三浦さんに向けて小さく微笑んだ瞬間。彼は酷く苦しそうな顔をした。
菫、と独白に近い声で呟く三浦さん。
都合の良い女は、私には務まらなかった。でも、貴方にはあの女の人がいるから。
私なんかより、素敵な女性だと思う。
だって、
「あの笑顔を、見てしまったら、もう傍にはいられません。いたくありません。」
「菫、菫…」
「…っ」
三浦さんは壊れ物を扱うように私の頬を冷たい指の腹で撫ぜる。
瞬間。
顎を掬われ、私の唇に三浦さんのそれがぶつかった。
あまりにも突然で、この空気に相応しくないシチュエーションに私は酷く混乱した。
待って、何コレ。
角度を変えては深く重なる唇は、押さえつけられすぎて痛い。乱暴に唇を割って侵入してくる舌が口内を犯す。
オカシイ、こんなん、どうして今出来るの?
「み、…ん、」
口の端から漏れる喘ぎに近い声は三浦さんを呼ぶ。