囚われジョーカー【完】



三浦さんが長男か次男が知らないし、名前も知らないから双子なのかと聞くことしか出来なかったけど。


男は小さくまた笑うと。私に背を向け歩き出した。



「つっまんねーな。」

「…。」

「ちょっとは騙されてよスミレちゃん?」

「何で、名前……」



知っているの?と私が聞く前に男は愉快だと言わんばかりにニヤリと口角を引き上げ。




「三浦さん情報ー。」



意地悪く笑ったその顔を思いっ切り睨み付ければ、肩を上げておどけて見せてきた。


三浦さんが双子だということを、初めて確認出来た。でも、どうしてコッチの三浦さんが私の前に現れたのかが不思議だ。





と。


「あ。スミレちゃーん。」


私の名を呼ぶただ三浦さんと似ているだけの声に視線を上げれば。

男はゆるりと笑い。




「麻乃との仲、邪魔しないでねー。」

「ッ…!?」



男の乗る車が走り去る。見えなくなるまで見送った私は、何もなかったように部屋に入った。




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