囚われジョーカー【完】
━amatory━
「…はい。」
“あー…、久しぶり。”
「はい。」
はい、しか返さない私。三浦さんの声は何時もと何一つ変わらないロートーン。
本当は、もう三浦さんとは電話なんてしないのが当然の筈なのに。
たった6日、だ。
たった6日三浦さんの傍を離れただけで、三浦さんの声一つにここまでかという程胸が締め付けられる。
黙り込む私を不審に思ったのか、三浦さんは「菫?」と私の名を呼ぶ。
どうして、どうして、私に電話なんてかけてくるの――――――?
“元気か?”
「はい。」
“飯食ってんの?”
「はい。」
“…清水くんと、仲良くやってるわけ。”
「……電話なんて、かけて来ないで下さい」。
やっと出だはい゙以外の言葉は、そんな可愛げの欠片もないもの。
ああ、こんなんだから私はアサノさんのように愛して貰えないんだ。