囚われジョーカー【完】
電話越しに聞く三浦さんの声。それだけで愛しさが溢れて、三浦さんに会いたい衝動に駆られる。
ダメだ、そんな思いには目を閉じろ。捨てなきゃいけないんだ、ほら、三浦さんの兄弟もわざわざ言いに来てくれたじゃんか。
私は、三浦さんに相応しくない。
“なあ、菫。”
「…(呼ばないでよ。)」
“清水くんと、付き合ったりすんなよ…。”
「ッ、…!」
その予想だにしていなかった言葉に私は酷く動揺し、携帯を床に落としてしまった。
ガツンと鈍い音がして、慌てて拾い上再び耳に押し当てる。
「っ、すみません…!」
“びっくりしたー…。何、携帯無事?”
「あ、はい。」
三浦さんの声はどこか笑ってて、私は眉を寄せながらも通話を続ける。
ソファーに腰掛け、背もたれに体重を預け天井を仰ぐ。
「…三浦さん、」