囚われジョーカー【完】



ああ、頭が痛い。

三浦さんの言いたいこともやりたいことも分からない。アサノさんがいるくせに、私を1番にはしてくれないくせに、今更何だ。



私の消えそうな程小さな呼び掛けに、携帯から聞こえてくる三浦さんの「ん?」は酷く優しかった。


―――だから、私の心は狂わされたんだ。

あんな事言う気なんてこれっぽっちもなかったのに。






「…私が、1番になれる日は来ないんでしょうか。」

“…菫?”



名前を呼ばれてハッとした。私はなんてことを聞いてしまったんだ。

三浦さんの私を呼ぶ声は明らかに困惑と不信感を孕んでいた。



“…菫、俺は”

「ッ…、今のなしです。忘れて下さい。」

“忘れられるわけねーだろ…馬鹿。”

「…。」

“なあ、菫。”





“会いてえ…。頼む、会いてえんだ。”



三浦さん、貴方はつくづく卑怯で狡い人ですね。




< 221 / 393 >

この作品をシェア

pagetop