囚われジョーカー【完】
ああ、頭が痛い。
三浦さんの言いたいこともやりたいことも分からない。アサノさんがいるくせに、私を1番にはしてくれないくせに、今更何だ。
私の消えそうな程小さな呼び掛けに、携帯から聞こえてくる三浦さんの「ん?」は酷く優しかった。
―――だから、私の心は狂わされたんだ。
あんな事言う気なんてこれっぽっちもなかったのに。
「…私が、1番になれる日は来ないんでしょうか。」
“…菫?”
名前を呼ばれてハッとした。私はなんてことを聞いてしまったんだ。
三浦さんの私を呼ぶ声は明らかに困惑と不信感を孕んでいた。
“…菫、俺は”
「ッ…、今のなしです。忘れて下さい。」
“忘れられるわけねーだろ…馬鹿。”
「…。」
“なあ、菫。”
“会いてえ…。頼む、会いてえんだ。”
三浦さん、貴方はつくづく卑怯で狡い人ですね。