囚われジョーカー【完】
低く掠れた三浦さんの声が鼓膜に響き、脳を揺らす。
身体の芯の方が疼き胸が締め付けられる。同時に目頭に込み上げてくる熱いそれ。
零さないよう歯を食いしばり堪えているというのに、三浦さんは再度私の名を愛しそうに呼んでくるから溢れてしまう。
嗚呼なんだ、コレ。
新手の虐めか。だとしたら相当意地が悪いと見える。
鼻を啜った音で、泣いていることがバレないように風邪と見せかける咳払いをした。
素直に、泣ければまだ可愛げがあるというのに。
「…私は、会いたくありません。」
“俺は会いたい。”
「拒否します。」
“それを拒否する。”
「別れは告げました。」
“それはお前だけだろ。”
「充分です。」
“嘗めんなよ。”
どんな会話だ、と頭を抱えたくなる。会いたくないと言えば返ってくる言葉は「俺は会いたい」というもの。
きりがない。