囚われジョーカー【完】
そう言った三浦さんは、ゆっくりと私を立たせるように促す。
従順にそれに従いソファーから立ち上がれば、三浦さんもゆらりと立ち上がり私の手首を掴み歩き始める。
どこに行くんだ、なんてことは考える必要もなくおそらく寝室だろう。
性欲なのか愛欲なのか、この人は早速か。
「三浦さん、」
ぴたり、足を止め名前を呼んだ私に腕を引く三浦さんは気怠げな動きで振り返ると私を見下ろす。
その顔が訝しげに眉を顰めていたから、ちょっと苛立った。
「…しませんよ。」
「……何で。」
「三浦さんの気持ちとか全部聞くまで、しません。」
「…。」
若干嫌そうな顔をした三浦さんだったけど、小さな溜め息を漏らし「そうだよな」と案外すんなりと引いてくれた。
三浦さんの傍にいられるのか、そう思う半面。清水くんの笑顔が頭をチラついて罪悪感に襲われた。