囚われジョーカー【完】



ゆっくりとした足取りでそのテーブルに近寄った私を、その男はニヤニヤと笑いながら見上げてくる。



「いらっしゃいませご注文はお決まりですか。」

「棒読みだね、スミレちゃん。」

「すみません無愛想で。」



可笑しそうにクスクスと笑うその男を眼光鋭く見下ろし睨む。

何で、この人がここに来るのか理解しがたい。


男は頬杖をつくと、上目で私の顔を見てくる。その姿はやはり似ているから双子だと再認識させられる。




「…ご用件は、゙三浦さん゙。」

「んー?特には。君の好きな三浦さんが、何かやけに嬉しそうだから。君と関係あると思って聞きに来ただけだよ。」

「……、」



滑らかに紡がれた言葉は私が三浦さんと関係あると断定しているもので。私が眉を寄せるのは直ぐだった。


私を呼び、意図の見えない笑顔を私に向ける男は三浦さんの双子の兄弟と名乗った男性。




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