囚われジョーカー【完】
遊ばせた毛先と意地悪く弧を描く笑みが無性に腹立つけど、そこは深く息を吸い込み落ち着かせた。
私のそんな些細な動作でさえ見逃さないように、とでも言うかの如く。三浦さんはじっと私から目を逸らすことをしない。
「…冷やかしですか。」
「人聞き悪いな。俺は単純に、人をからかうのが好きなだけだよ。」
「サラッと最低なこと言いましたよね今。」
「んー、良く麻乃にも言われる。」
くすり、笑いながら三浦さんが紡いだ言葉に今度は私が彼を見つめた。
一方三浦さんは、今自分が言った言葉に気付いてないのか。それとも意図的なのかは分からないがニコニコと笑みを浮かべている。
゙アサノ゙と親しげに呼ばれた名前だった。
そりゃあ、私の好きな方の三浦さんも呼び捨てだったし知らない筈はないだろうけど…。
表情はやはり抱く想いによって変わる。