囚われジョーカー【完】
“あ、三浦さん今コンビニ行ったんで上がってきて下さい。”
「…あ、はい。」
“じゃあ、また後ほど。”
それだけ言い残すと、電話の相手である女性(おそらくアサノさん)は一方的に通話を終了させた。
三浦さん、コンビニ行くのに携帯置いていったのか。それに迷いなく出るアサノさんも、さすがカズヤさんの彼女だけあって凄い。
マンションのフロントを通り過ぎ、エレベーターに乗り込む。
上昇を始める箱の中で、はた、と考える。
今、三浦さんの部屋に行けば私とアサノさんだけという気まずい空間が出来上がるんじゃないか?
わ、どうしようー…。
そうこうしている内にエレベーターは三浦さんの部屋がある階に到着していて、降りた私の足も部屋へ向けて進んでいく。
インターホンを押そうと指が些細にだが震えてしまっている。