囚われジョーカー【完】
「まずは、お詫びを。あの人は絶対に謝らないだろうから…。」
「…、」
「和也が失礼なことしたみたいで、ごめんなさい。異常なS気質で、…会社では三浦さんからかって遊んでるんだけど。まさか菫ちゃんにまで手を出すとは…」
手を出すという言い方に私は苦笑を浮かべて見せる。
その後も「大丈夫です」と言った私の声が聞こえてるのか聞こえてないのか、麻乃さんはぶつぶつと不満を口にしていた。
それは主にカズヤさんに対するもので。私も会って思ったように彼は相当なSらしい。
麻乃さんは外見を見れば綺麗な大人な女性を思わせ、勿論性格の面も大人なのだが少し子供みたいな無邪気さもある。
と。
ガチャリ、という音がして玄関の方から話し声が聞こえた。
三浦さんが一人で喋ってるのかと思ったけどもう一人別の声も聞こえたからそうじゃないみたいだ。