囚われジョーカー【完】
何故?と問い掛けた私に返ってきたのは驚きのものだった。
「いや、私、麻乃と高校同じで。あの時から和也くんと付き合ってたから―――」
黙っててごめんね、と顔の前で両手を合わせた明日香さん。
多少頭は消化不良で混乱が残ってはいるが、大分わかりやすい理由ではある。
明日香さんと麻乃さんは同級生。麻乃さんとカズヤさんって、高校時代から付き合ってたんだ。
そこに吃驚したのもあるが、一番聞きたい疑問も浮かんだ。
せっかくの、明日香さんと二人きりな今。それを聞くなら今が一番いいかもしれない。
「…明日香さん、あの…」
「うん?」
――――私が、初めて明日香さんに三浦さんのこと言ったとき……
ガチャリ。
と。
私の声に重なるよう、響いたドアの開く音と心地良いカウベルの音。
遮られ、話の糸は途切れてしまった。