囚われジョーカー【完】
「俺も仕事だし。」
「だったら、自分の部屋で…」
「泊まりたい。」
「……」
「泊まりたい。」
「いや、二回も言わなくても」
「じゃあ泊まらせろ。」
最早命令形に変わった三浦さんの泊まりたい交渉に私は深い溜息を吐き出す。
チラリと見た三浦さんの顔はいつも通り飄々としていて、王座の風格を露わにしている。
「我が儘ですね。」
「分かりきったことだろうが。」
「開き直りですか。」
「ふん、あー…でもどの道スーツ取りに帰らねえと。」
「そのままお帰り下さい。」
「は?」
「え?」
こいつ馬鹿かみたいな目を向けてくるけど、わざわざ往復しなくてもそのまま自宅に帰った方が良いに決まってる。