囚われジョーカー【完】
その不意の温かさに何故か涙腺が少し緩んでしまい、視界が揺れた。
それに気付かれまいと視線を三浦さんから逸らすと、頭上から聞こえるクスリという愉しげな笑み。
「…じゃあ、菫さん。遊びますか?」
「…え?」
いきなり解せない言葉を吐き出した三浦さんに、怪訝を露わにした顔を向ければ。
細められた双眼と持ち上げられた口角の妖しさに背中を冷たいものが駆け上がった。
絶対、゙良い遊び゙の気がしない。
じりじりと焦れったいほどゆっくり顔を近付けてくる三浦さんから、私は逃げ腰になりながらも手で胸板を押し返し応戦。
待て待て待て待て…!
三浦さん、冷静さカムバック!今貴方の目は明らかに卑猥なことしか考えてないですよね!?
必死に胸板を押し返すも、やはり成人した男と女。力の差は歴然。
「全部ケリついたら覚悟しとけって、言っただろ。」
そう言った三浦さんは、俯く私の顎を指で掬い上げて酷く甘ったるいキスを降らせた。