囚われジョーカー【完】
そうハッキリ言った私を三浦さんは強く抱き締め直すと、耳元に自身の唇を寄せて囁く。
「休んで…」
「…駄目ですよ。三浦さんも仕事あるでしょ。」
「休む。」
「だから……」
「菫と、一緒にいたい。」
「………だから、駄目ですってば。」
やけに甘えた声色を紡ぐ三浦さんに、体の奥の方がビリビリと痺れる感覚を覚える。
こうやって、私の理性を奪っていく三浦さん。
一度ギュッと瞼を下ろし、乱れた心音を整える。
甘えてくる三浦さんも貴重だと思うし、私だってこの温もりから離れたくないと強く思う。
でも、甘えたことばかりは言ってられない。
三浦さんが次期社長ではなくても、彼が会社で働いているのは事実。簡単に休んでちゃ、信頼だって失ってしまう。
「…今、何時ですか?」
「ん……朝の6時。」
「起きましょう。」
「すみれー…」
「……夜、私もここに帰ってきますから。」