囚われジョーカー【完】
歯列をなぞられ、逃げる舌は器用に絡め取られて捕まえられる。
官能な、本能を隠そうともしない野性的すぎるキスに私の脳は思考を溶かされていく。
息苦しくて、熱くて、胸が焦がれてしまうほどこの人が酷く愛しい。
シャツの裾から侵入し直に肌を腰のラインに沿って撫でる冷たい手に、私は今度こそ三浦さんを全力で押し返した。
「仕事…っ!!」
「……。」
「そんな目で見ても、駄目ですからね。」
「(…お前の目の方が誘ってるっつーの。)」
ジッと、恨めしそうな目で私を見る三浦さんは無視で1人ベッドからフローリングの床へと足を下ろす。
素足には、その冷たさが辛かった。足裏から全身へと浸食していく肌寒さに自分の服装を見直す。
「(……痴女か、私は。)」
下着上下におそらく三浦さんの白シャツを着ただけの私。
直ぐさま寝室の床に落ちている私が昨日来ていた服やズボンを拾い上げて着る。