囚われジョーカー【完】
背後から三浦さんの「あーあ残念」という声が聞こえたがこれも当然ながら無視だ。
一々反応してたら、さっきみたいにまた流されてしまう。
さっさと寝室を出て行く私の耳にクックッという喉の奥で噛み殺すような笑いが届き、眉根を寄せた私はリビングに続くドアの前で振り返って。
「早く着替えて出てきて下さいよ。」
そう、睨みながら呟きドアを閉めた。
ドアの向こう、寝室から聞こえた愉しげな笑い声に苛立ったが気にせずキッチンに立つ。
「(…朝ご飯、作ってやるか。)」
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あの後、グレーのスーツに身を包み大欠伸をしながら寝室を出てきた三浦さん。
ニラ玉と食パンのトーストをテーブルに出してやれば、うまいと呟いて平らげてくれた。
身支度を済ませた三浦さんの車で私のアパートまで送ってもらい、三浦さんの車が走り去っていくのを見送った。