囚われジョーカー【完】
口角を緩く引き上げ私を近距離で見る目は嬉々としてギラギラとした光を持っている。
「声、出ちゃった?」
「ッ……!」
「もっかいする?」
「ば、馬鹿!」
三浦さんの胸板を押し返そうとした捕まれていない方の私の手は、一瞬でハンドルに乗せていた三浦さんの手に捕まってしまう。
両手の自由を奪われた私には、三浦さんのされるがままということになる。
「俺がしたい。」
「三浦さ…」
「黙って。」
視界を占領する端正な顔に、私は大人しく瞼を下ろした。
与えられる口付けは毒のように私の判断力を鈍らせる。
―――――分かってる。
次期社長と只の女子大生が゙恋愛゙なんて出来るはずないってことぐらい。
それでも、愚か者の私は
貴方の熱が手放せないの。