囚われジョーカー【完】
「さて、菫さん。」
「…何でしょう。」
ニヤリ、妖しく繊細な美しさがあり。でもやはり雄雄しいと感じさせる威圧的な雰囲気は大人。
負けたくないと変な競争心に駆られ、若干睨むように視線を絡ませれば。
すっと頬に触れた冷たい指に微細ながらも肩が跳ねた。
どんどん早まる自分の心音は、抱き締められているためバレているであろう。
冷たくも長く綺麗な指は、頬から輪郭をなぞるように滑り唇に軽く触れた。その冷たさが火照るそれを冷やすようで気持ちいい。
小さく息を吐いた私と三浦さんのどこか熱っぽい視線が絡まる。
「まずは、同棲から始めませんか?」
「…ッ、」
「で。菫が大学卒業したら結婚な。」
「……決定事項、なんですね…。」
溢れそうになる涙を隠すように強がりな台詞を言葉にした。なんて、可愛くないんだ。