囚われジョーカー【完】
ジョーカー、て。
ババ抜きとかでは邪魔者扱いされる。
でも最後だけは、そのジョーカーを引いて欲しいと勝負をしている者は願う。
ジョーカーを引けば負け。もう一方は勝ち。
―――――でも
ジョーカーだって、こんな恋をして。囚われることが幸せと感じる。
愚か?
それでもいい。私は、それさえも幸福と感じてしまうほどこのジョーカーに溺れてしまったのだから。
「三浦、菫。」
「…。」
「中々いい響き。語呂良いよな。」
「…文字数、じゃないですか。」
「早く籍入れてえな。」
「……はい。」
幸せをもらえば、悲しみだって耐えられる。
三浦さんの背に自分から腕を回し、瞼を下ろした先の黒に見えた未来は。
「(…三浦さんの、隣。)」
-END-