囚われジョーカー【完】
番外編
━surprise━
「あ、菫ちゃーん!」
「お待たせしました。」
こちらに向かってぶんぶんと手を振る彼女は、上質なスカートタイプのスーツに身を包んでいる。
長い髪はいつもより丁寧に巻かれていて、あ、メイクも念入りだ。
にこにこと微笑む彼女に駆け寄れば、悪戯っ子のような笑みを浮かべ楽しみねと彼女ははにかんで見せた。
「麻乃さん、私まで上がっててもいんですか?」
「大丈夫!和也が春海さんも連れて来るって言ってたから。」
「…そう、ですか…。」
現時刻、PM 20:15
私は今麻乃さんに連れられて和也さんの住むマンションの前まで来ていた。
ここまで来て躊躇する私の腕を麻乃さんはぐいぐいと引っ張り連れ込んでいく。
「早く早く!準備しないと和也達帰って来ちゃうよ。」
麻乃さんのその言葉を最後に、私は諦め潔く和也さんの部屋に踏み込んだ。