囚われジョーカー【完】
相変わらず、触れるものすべては優しい。
くらり、くらり
目眩がするほど与えられるキスの余韻に浸る間もなく再度角度を変え重なるそれに、声が漏れる。
それを見て、満足げに目を細めた男はさらに深く私を犯す。
鬼畜もいいとこ最低な男である。
と。
「あー…、仕事行かねえと。」
そう唇を話して気怠げに呟いた男を真っ直ぐに見つめ。
「行ってらっしゃい。」
「…寂しい、とかないわけ?」
「言う必要性がないのでありません。」
淡々とした会話と同時進行で肩からずれ落ちていた黒色のカーディガンをかけ直す。
目の前の男は溜息を吐きながら煙草へと火をつけ口へと運んだ。