囚われジョーカー【完】
余裕なわけがない。脳は彼から与えられる甘過ぎる刺激の波にいつ思考回路を持って行かれるか分からない状況だというのに。
ムカツクのはこっちだ。貴方は何時も、優位に立って私を乱す―――――――…
「そんな怖い顔じゃなくてさ、良い顔見せて欲しいんだけど?」
「まッ…、あっ、」
カチャカチャというベルトのバックルがぶつかり合う音が朦朧とした意識の端で聞こえ。
突如として襲ってきた快感の渦に、私は溺れた。緩い律動を繰り返す三浦さんの首に腕を回してしがみつく。
静かな部屋の中には、私と三浦さんの荒い息遣いが響いている。キッチンでこんな事をしているなんて、私はなんて羞恥な事をしているんだ。