囚われジョーカー【完】
そうは思うのに、最後まで拒みきれないから結局はこうなる。
「菫、菫、」
「っ―――――」
私の名を機械のように繰り返す三浦さんに、私は自分から唇を重ねた。
三浦さんの声は危ない。しかもこんな情事の最中にあんな甘い声で名を呼ばれ続けたら、冷静さを保てる自信なんてない。
それなのに―――――、
三浦さんは私の理性を崩すことが目的みたいだ。彼は軽くキスをすると直ぐに唇を離しその口元をわたしの耳へと近付け囁く。
「菫。」
「ッ、三浦、さん…!」
全身を駆け巡った痺れにおかしくなりそうで、縋るような声で私も彼の名を呼ぶ。
途端、激しくなった律動に私はもう迷うことなく意識を手放した。