囚われジョーカー【完】
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「ん、」
目を覚ました私がいたのは自分のベッドの上だった。
のろのろとした動きでベッドから下りた私はまだ覚醒しない意識のまま覚束ない足取りでリビングへと続くドアを開けた。
部屋の中は暗く、居るはずの人の姿を探すが見当たらない。
帰ったのだろうかと玄関を見に行ったが靴はあるから居る。じゃあ、どこに?と考えた私は直ぐに答えに辿り着いた。
足早にカーテンが少し開いている窓に近付き、隙間からベランダを覗いてみると―――――
「(嗚呼、やっぱり。)」
三浦さんはぼーっとどこか遠くを見つめながら煙草を吸っていた。
その姿が男のくせにやけに妖艶で、思わず見惚れてしまう。