囚われジョーカー【完】
「飲む?」
彼が差し出して来た缶にばコーンポタージュ゙の文字が。
「…いらない。」
「コーンポタージュ嫌い?」
いや、コーンポタージュだからいらないとかじゃなくて。まず貴方それ自分の飲みさしじゃん。
コーンポタージュは好きだけどね。
丁重にお断りすると、清水くんは少し笑い美味しいなこれと呟きながら満足げに飲んでいた。
私も、本を閉じるとすっかり冷たくなった空気に自分の息を吐き出した。
白い息が浮かび消えるのを見て、これは失敗だと後悔。だって、白い息が紫煙に見えた。
頭の中に浮かんだ人物はあれ以来連絡の一つもない。たったの6日、だけど……薄情め。
「何読んでたの?」
そんな私の意識は清水くんの問いかけによって引き戻される。
「…課題テーマの小説。」
「あー、文学科だもんな篠宮。」