囚われジョーカー【完】
「私、質問してます。」
「早くしろよ。」
「私の話聞いてますか。」
「さーむーいー。」
私の話、完璧無視する気ですね。そんな自己中な態度に腹が立ったから、私は眼光鋭く端正な顔を睨み上げた。
が。
やはり、相手にはされない。深い溜め息と共に勝手にして下さいと呟いた私は、一人さっさとアパートの階段を上がっていく。
私が階段を上がりきって部屋の前に立ち、バッグから鍵を取り出している時。
カンカン、と金属製の階段を上がってくる音が聞こえた。鍵を見つけ出し鍵穴へと差し込み開錠。金属が靴と接触する音が消えたから階段へと視線を送る。
そこには、そっぽを向いて欠伸をする男。私の傍まで歩み寄ると薄く笑った。
「俺、今ナニ考えてると思う?」
私の部屋のドアノブを掴んだのは三浦さん。半ば力任せに開けられたドアの隙間に私の身体は押し込まれた。