囚われジョーカー【完】
「…言えよ。」
「……だから、何でもないですってば。」
「だったら、何で俺が見えないんだよ。」
゙俺の何が見えない?゙
そう問いかけ、私の頬を優しく撫でた三浦さんの手は冷たい。
そのまま顔のラインに沿って手を移動させ、唇に触れる親指が切なかった。
私が持っている不満は。三浦さんが見えない、それだけじゃないんだ。
三浦さんを心から感じれない。
抱かれていてもどこか冷えてる。
それを伝えられれば、どれだけ楽か。思いが届けば、どれだけ嬉しいか。
貴方も同じ気持ちなら、どれだけ幸せか。
結局、どれも叶わないただの夢でしかない。
―――黙り込む私に、気怠げに溜め息を吐き出す三浦さん。
今のは、従順ではない私が面倒だったから?
「(溜め息、吐くくらいなら…)」
私との関係を、貴方から断ち切ってしまえばいいじゃない。