接吻ーkissー
ささやかれたその言葉にドキッと、私の心臓が鳴った。

「――私も、好きです…」

そう言った後、竜之さんの背中に量手を回した。

手のひらから伝わってきたその体温に、ハッとなった。

だって、
「――冷たい…」

それはまるで、氷のようだった。

「昔から体温が人よりも低いんだよ」

竜之さんは私から躰を離すと、隣で横になった。

「生まれ育った場所が、雪国だったと言うこともあってか」

「えっ?」

今聞いた事実に、私は驚いた。

「菊地さん、雪国の出身だったんですか?」
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